こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「仕事はどうした」
「終わりました。さっきの相談なんですけどぉ」
 相談にかこつけるのも常套手段だ。

「先ほども言った。上司に相談しろ」
「でも店長では頼りなくってえ」
 万葉はじろっと月菜を見た。
 めんどくさいが、断ってもこの女はまた話しかけてくるだろう。今のうちに処理をしたほうがあとくされがない。

「十秒で話せ」
「えっ」
 月菜はきょとんとする。
 万葉はこれみよがしに腕時計を見た。

「あ、あの、私、カフェ店員の萌木さんにいじめられてて」
「ほう?」
 万葉の片眉がぴくりと上がった。

「それで、つらくて。いじめっていうか、パワハラ? 会社が解決するべき問題ですよね?」
 じっとりとした目つきが不快だ。かわいそうな私を放置できないでしょ、と言わんばかり。
「具体的には?」

 聞かれた月菜は目を輝かせた。
「物を隠されたり、悪口を言われたり。休憩のときにカフェでコーヒーをかけられたこともありました」

「君はわざわざ、いじめている人間のいる店に行くのか?」
 矛盾をつっこまれ、月菜は動揺を見せた。
「でも、どこで休憩するのかは自由ですし……」
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