こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「おはー。編み物って楽しい?」
「おはよ。楽しいよ」
 マリリンに返しつつ、カウンターの奥にいる拓斗と会釈を交わす。

「あーしにも編めるかな。昨日スマホで見たの、あみあみデザインのニット」
「アランセーターかな?」

「なにそれ?」
「アイルランドのアラン諸島が発祥で、ケーブル模様とかダイヤ模様とかあるの。模様にはそれぞれ意味があるんだよ」
「彩羅っち、マジ物知り」
 マリリンが感心するから、嬉しくなる。

「最初は模様がないほうが簡単だよ」
「えー。模様がいい」

「やりたいものに挑戦するのがいいんじゃないかな……セットのケーキ、できたよ」
「はーい」
 マリリンがカウンターからケーキセットをお客様のところへと運んでいく。

 失敗した、と彩羅は眉を寄せた。
 善意から簡単なものがいいよ、とは言ったけど、やる気をなくさせる発言だっただろうか。

「そうだ」
 彩羅は戻ってきたマリリンに思いついたことを提案し、彼女は喜んでくれた。
< 61 / 212 >

この作品をシェア

pagetop