こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
 彩羅は自分のSNSの過去の画像を見せる。
 極太の毛糸でざっくり編んだマフラーだ。
「かわちぃ! これ自分で? プロじゃん!」

 大げさなマリリンに彩羅は苦笑する。
「これを編むなら毛糸を買わないとね」
「じゃ、選びに行こ」
 マリリンがすぐさま立ち上がり、彩羅は戸惑った。

「どしたん?」
「私は手芸ショップに行けないことになってるから……」
「なんで?」
 彩羅は返答に困った。理由を話すためには、前職のことも話さなくてはならないだろうから。

「……さっき、あの人が休憩に入るのが見えたよ。今なら大丈夫だよ」
 会話が聞こえたのだろう、拓斗がカウンター越しにそう言ってくれた。

「ありがとうございます。じゃあ今のうちに行こうか」
「おけ!」

 一緒に手芸ショップに行くと、マリリンは面白がって店内を一周した。見慣れない手芸用品に興味津々だ。
最後に毛糸コーナーに行き、壁一面を埋め尽くす毛糸の山と作品見本に、マリリンは笑いながらスマホで毛糸コーナーを写す。

「毛糸ありすぎ問題。ウケる」
「たくさんあるよね。全部ほしくなっちゃう」

 編み物はやめたはずなのに、無性にうずうずする。ふわふわのモヘヤにカラフルなアクリル。グラデーションはそれだけでかわいいし、毛足の長い毛糸の手触りの良さに心が揺れる。
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