こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
 月菜がほめてくれるので、嬉しくてさらに編んだ。喜んでくれたからハンドウォーマーやポーチなども編んでプレゼントしていた。あげすぎて迷惑かと思ったら、どれも喜んでくれてすごく嬉しかった。

 編み物が趣味と知った営業の慶太にも「女らしいな」と褒められてなおさら調子に乗って編んでいたら、一か月ほど前に慶太に「好きだ」と告白された。
 告白されるなんて彩羅にとっては一大イベントで、すぐに浮かれて交際をOKした。

 冬になったらマフラーでも編んであげよう、それまでにもっとうまくならなくちゃ。
 今回、マフラーをリクエストされてはりきって編んだのに。

 なんとなく一言投稿サイトを見ると、青空羊の投稿が目に入った。
 そうして、一年前に編み物を始めたときのことをくっきりと思い出す。

 最初は百均で毛糸と編み針、編み方の本を買って来て挑戦した。
 その時点で挫折しそうになった。
 編み図の記号が、わからない。

 困ってネットで検索したら彼女の動画を見つけた。美しい指が動くたび、一本の糸だったものが「布」になっていく。まるで魔法のようだ。
 私もこんなふうに編めたら。
 そう思って彼女の編み方動画を食い入るように見て、どうにか最初のマフラーを編み上げた。

 私でもできた!!
 達成感の高揚で、マフラーもいつもの冴えない自分の部屋も、なにもかもが輝いて見える。

「青空羊さんのおかげだ。お礼しなくちゃ!」
 興奮さめやらぬままお礼のDMをして、直後に我に返った。

 見知らぬ他人から『あなたのおかげで編めました』なんて、びっくりするだろう。
 どうしよう、と慌てているときに『お役に立ててよかったです』と返事が来た。
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