こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「なにかあったらいつでも連絡を。すぐに駆け付ける」
「ありがとうございます」
 現実には不可能だろうが、そう声をかけてくれるだけでもうれしい。
 拓斗と一緒に出口の外まで見送って、拓斗に改めて頭を下げる。

「ご迷惑ばかりおかけして、申し訳ございません」
「君からの迷惑ならむしろ歓迎だよ」
 いつも通りの軽い口調に、だけど彩羅の気持ちは沈んでいく。

「万葉は君をすごく気に入ってるみたいだね」
 突然変わった話に、彩羅はきょとんとした。
「仲がいいとは思います」

 言ってから、さきほどの「彼氏」発言を思い出す。あれはどこまで本気だったのだろう。
 いや、あんな堂々と言うくらいだから冗談かもしれない。ちっとも笑えなかったけれど。

「俺、人のものって俄然欲しくなるんだよね」
 拓斗の目がつやっぽく輝き、舌がぺろりと自身の唇を舐める。

「え?」
 彩羅は驚愕にひきつり、拓斗は、くくく、と楽しそうに笑った。
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