こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
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運転手がなめらかに車を発進させる。
後部座席に深く身を沈め、万葉はふうっと息をついた。
彩羅が最低な恋人にふられたのは知っていたが、あそこまで低俗とは思わなかった。
かつて母を亡くした小学生時代、父には編み物を「男らしくない」と責められて、隠れて編むようになった。
中学生時代には同級生に趣味が編み物だとバカにされたことをきっかけに乱闘になり、高校のときには付き合った女性に中学時代のケンカがばれてドン引きされた。
以来、トラブルが面倒で趣味を隠すようになった。その奥底には子供時代に父に言われた「男らしくない」が棘となって深く突き刺さっているのもわかっている。
バカにするようなやつは無視すればいい。大人になった今ではそう思うのに、どうしても胸に刺さった棘が抜けない。
大学時代、拓斗にはばれた――デート中の拓斗と手芸ショップで出くわした――が、彼はばかにすることなく毛糸を手に取って「俺もやってみよっかな」と言った。
それ以来、彼とは仲良くしている。
スマホの通知に気づいてメッセージを見ると、父からだった。某社の娘とのお見合いについて書かれている。
万葉はすぐさま断りのメッセージを返した。
見合いなぞ、する気はまったくない。
仕事を優先する万葉は、女性とは長続きしない。
仕事に集中したいのは今でも変わらないが、断るのは別の理由ができた。
万葉は一言投稿サイトにアクセスした。今日も様々な一言が電子の網の中を飛び回っている。
ネットを始めたのは気まぐれだった。