こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
 なんだかんだ、拓斗も根は誠実な人間だからこの忠告は守られると思っている。
 彼女の採用が決まると、今度はつい理由をつけて足を運んでいた。

 拓斗が煽るように彼女をかまうのが腹が立つ。いらだつ自分を見てにやりと笑う姿にはさらにムカッとする。からかわれているとわかっているのに、つい反応してしまう。

 思えば自分は拓斗ほど自然に女性を誘うことなんてできやしない。
 彼は小さいころからモテているという。彼目当てで万葉に近づく女もいた。さっさと紹介してやると、女性はもれなく拓斗とくっついていた。

「まさか彩羅さんも?」
 不安に襲われた直後、ふと自分の言動を思い出す。

『正々堂々と彼氏になってあの男を滅ぼす』
 これは告白したことにならないか?
 サーっと顔から血の気が引く。

「そんなダサいことってあるか?」
 しかし彩羅はあのとき、このセリフに大きく反応していなかった。

 だったらあれはノーカウントにできるだろうか。
 もんもんとしている万葉の眉間のしわはいつも以上に深くなり、取引先では相手の重役をおびえさせた。

***

 慶太の騒動があったあとも万葉はカフェに現れた。
 オーダーストップのあとに現れ、七時には退店する。

 彩羅は考えないようにして働く。
 拓斗はわざわざ万葉の前でじゃれついてくるし、マリリンは「ウケる」と笑うばかりだ。
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