こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
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彩羅は仕事帰りに駅前の百円ショップに立ち寄った。
自然と足は手芸コーナーに行き、はっとする。
もう編まないのに。
そう思いながらもつい毛糸をチェックする。
色とりどりのそれを見ていると、それだけで心が浮き立つ。
もこもこの毛糸、温かそう。こっちのグラデーション、きれい。
思わず手に取るが、じっと見つめたあとに棚に戻した。
未練がましく、よく使っていた編み針はまだ手元にとってある。
編みたければ編めばいいだけなのに。だけど、どうしても慶太と月菜がちらつく。
ごみ袋を買って店を出て、はあっとため息をつく。
彼も同じだろうか。
編み物が好きなら好きって言えばいいのに、と思ったが、安易だった気がする。
好きなものを否定され、隠さなければならなかったなんて、苦しかっただろう。
編み物をする男性といえば編み物キングの高瀬だが、男性が少ないからこそ話題性があるのだろう。
「私は絶対に青空羊さんを否定しない」
固く誓ったのち、万葉にメッセージを送った。
『いつもお店に来てくれてありがとうございます。今度、このお店を紹介してくれたお礼をさせてくださいね』
お菓子でも買って持っていこう。お土産のお菓子はすごくおいしかった。
そう思っていたら、ぴこん、とスマホが鳴る。
『だったら君が編んだものが欲しいな』
え、と思ったところへ追撃が来る。