こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
翌日の夕方、予告通りに万葉が現れた。
姿を見た瞬間、どきっと心臓が跳ねる。
順調に彼を好きになって言っている気がして、そわそわする。
彼は掃いて捨てるほど女性が寄ってくるだろうし、身分だって違う。そもそも自分に女性性なんて期待されていないのだろうから、きちんと友人でいなくては。
友人である間はきっと、近くにいられる。
そう思って彩羅は気を引き締める。
タイムカードを押したマリリンは席で編み物と格闘しており、万葉には会釈しただけで戦いを再開する。
「仕事の邪魔だからもう来るな」
笑いながら言う拓斗を一瞥し、万葉は手近な席に座る。
「うっせ、俺は上司だぞ」
「それを言うなら俺は他社の人間だぞ?」
「そうなんですか?」
彩羅は驚いて拓斗を見た。
「言ってなかったっけ?」
拓斗もまた驚く。
「拓斗はカフェチェーン『フォレスト』から来てもらってるんだ。編み物カフェが軌道に乗ったら『フォレスト』に戻る予定だ」
万葉の説明に、彩羅はまた驚く。