こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
「彩羅さんに見せる約束だったからな」
 言って、彼はぱかっと開いて見せる。

「これは……!」
「へえ」
「編み物だね」
 振り返ると、マリリンも一緒に鞄を覗き込んでいた。

「いつの間に」
 万葉は若干慌てている。

「内緒だよ、椛川さん」
 とっさに彩羅が言うと、マリリンはどん! と自身の胸を叩く。
「あーしは口が堅いんで有名だから」
 その自信が逆に怖い、と彩羅は不安になる。

「なに編んでんの?」
「今は編みぐるみだ」
 万葉は猫のあみぐるみの完成画像をスマホで見せてくれた。

「え、すご。毛糸ってぬいぐるみも作れるんだ!?」
 マリリンの目がきらきらと輝く。

「完成品と一緒に、毛糸と編み針、手芸わたのセットを施設に寄付している」
「寄付……」
「編み物人口は増えたほうがいいからな。そういう計算だよ」
 照れたように彼はつんと顔をそらし、ネクタイをきゅっと上げる。

「悪者ぶっちゃって」
「ことさら善人ぶる内容でもない」
「しかしよく見せる気になったな。ずっと隠してただろ」
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