こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
7
翌日、彩羅は青ざめた顔で出勤した。
真っ先に拓斗のところにいき、挨拶して本題に入る。
「店長、ネットに動画が流出しています」
「見たよ。バズってたね。炎上って言うべき?」
拓斗は苦笑を返す。
「だけどあれは……」
彩羅はぎゅっと眉を寄せる。
問題の動画は、万葉が編み物を編む姿だった。
昨日の盗撮のようで、ズームで画像は荒くなっていた。
彩羅たち店員の顔は映っていないが、万葉だけは顔も手元もはっきり映っていた。
『男のくせに編み物とかww ダサwww』と煽るコメントとともに挙げられていた。
その動画には『男性が編み物してなにが悪いの』『性格悪』『編み物歴四十年の私が言うけど、編み物は正義』などコメントがつけられ、投稿主が炎上していた。
動画のアップ主はしばらくしてアカウントごと消えていた。
『編むのすごいうまい』『早業、新幹線級!』『国宝級イケメン』などほめるコメントも多く投稿されており、万葉を擁護する意見ばかりであったのはほっとしたが、いったい誰が盗撮したのか。
彩羅は手芸ショップを見る。
心当たりはひとりしかいない。撮影の角度からしても、きっとそうだ。
「気にしても仕方がないことは気にしない。君の仕事はこっち」
拓斗が指でくいっとカフェを示す。
「はい」
彩羅は素直に返事をして、仕事に集中するように気をつけた。