こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~



 翌日、彩羅は青ざめた顔で出勤した。
 真っ先に拓斗のところにいき、挨拶して本題に入る。

「店長、ネットに動画が流出しています」
「見たよ。バズってたね。炎上って言うべき?」
 拓斗は苦笑を返す。

「だけどあれは……」
 彩羅はぎゅっと眉を寄せる。

 問題の動画は、万葉が編み物を編む姿だった。
 昨日の盗撮のようで、ズームで画像は荒くなっていた。

 彩羅たち店員の顔は映っていないが、万葉だけは顔も手元もはっきり映っていた。
『男のくせに編み物とかww ダサwww』と煽るコメントとともに挙げられていた。

 その動画には『男性が編み物してなにが悪いの』『性格悪』『編み物歴四十年の私が言うけど、編み物は正義』などコメントがつけられ、投稿主が炎上していた。
 動画のアップ主はしばらくしてアカウントごと消えていた。

 『編むのすごいうまい』『早業、新幹線級!』『国宝級イケメン』などほめるコメントも多く投稿されており、万葉を擁護する意見ばかりであったのはほっとしたが、いったい誰が盗撮したのか。

 彩羅は手芸ショップを見る。
 心当たりはひとりしかいない。撮影の角度からしても、きっとそうだ。

「気にしても仕方がないことは気にしない。君の仕事はこっち」
 拓斗が指でくいっとカフェを示す。
「はい」
 彩羅は素直に返事をして、仕事に集中するように気をつけた。
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