こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
夕方になるとそわそわして何度も出入口を確認した。
暖房のかかった店内と違い、外は寒風がふきすさんでいる。
今日は来ないかもしれない、とあきらめながらオーダーストップの札を出したとき、駐車場に黒い車が入ってくるのが見えた。すでに見慣れたそれからは万葉が降りてくる。
彩羅は、すぐさま平静を装ってカウンターの中に入る。
それから自動ドアが開いたときに、今気づきましたという風情で「いらっしゃいませ」と声をかけた。
万葉は疲れた様子で、髪が少し乱れている。
拓斗は注文前からコーヒーを淹れ、サービスのクッキーをつけてトレイに載せ、それを彩羅が運んだ。
「お疲れ様です、どうぞ」
「ありがとう」
万葉はテーブルに置かれたコーヒーをすぐに口にする。
彩羅はすぐにテーブルから離れられなかった。ネットの動画のことを聞いてもいいだろうか。だけど、もし彼がまだ気づいていないなら言わないほうがいいだろうか。
「万葉、あの動画見たか?」
カウンターから出てきた拓斗が言い、彩羅はびくっとした。
おそるおそる万葉を見ると、彼は怪訝に拓斗を見る。
「なんのことだ?」
「これだよ」
拓斗がスマホを見せ、万葉はじっとそれを見る。
「最悪だ……こんなものがネットに上がってるのか」
万葉はテーブルに肘をつき、頭を抱えた。