こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
『編み物フェア関連で忙しくなりそうだ。しばらく店に行けないかもしれない』
 知らせを見て、少しがっかりした。だから今日も来なかったのだろうか。
 続けてメッセージが届く。

『フェアには力を貸してもらうことになると思う』
『頑張ります!』

 フェアってなにをやるんだろう。毛糸のセールだろうか。
 とにかく、もっともっと仕事をがんばろう。
 そうすればもっともっと万葉の力になれるだろうから。



「なんだかご機嫌だね」
 出勤直後、拓斗に指摘され、彩羅はにこっと返す。

「最近、やる気に満ちてます」
「もう西垣さんもいないし、安心だね」
「はい」
 月菜は研修期間が終わって本社に戻っていった。最後になにかやらかすのではとはらはらしたが、おとなしく帰ってくれてほっとしている。

「割引はカフェ側だけでやることにしたよ。手芸ショップのレシートを見せたら五パーセント引き。当日のみ有効。今、本部の承認待ち」
「お客様が増えそうですね」
 買ったらすぐに作りたくなると思うから、カフェで編み始める客が増えそうだ。

「イベントはさっそく来週やってみようと思う」
「早すぎませんか」
「早くやってくれって椛川さんがうるさくてさ」
 彩羅は接客中のマリリンを見た。彼女がそんなに編み物に積極的になるとは。

「これから忙しくなるよ」
「はい!」
 彩羅は元気に返事をした。
< 93 / 212 >

この作品をシェア

pagetop