【1話からの長編大賞用】冴えなかった元彼が、王子様に変身して帰ってきた。
高元はバーでの一件のあと、理人からどれほど恐ろしい圧をかけられたのかを思い出したようにわざとらしいジェスチャーをしてみせた。
『舜、次はないからね』
『い、いやいやお前って別にあんまり人や物に執着するタイプじゃないじゃん?なんであの子にあんな固執してんの?』
『……そうだね。多分〝あの子以外に大切なものがない〟からかもしれないね』
『うっわぁ、マジかよ。それ王子様の言う台詞か?』
『だから、俺の唯一の大切な人にこれ以上ちょっかいかけるなら……俺も全力で阻止するから』
『……怖すぎ、お前』
『悠里ちゃんを守るためなら、この肩書きも、今の地位も、全部使って舜を退治するつもりだからね』
理人が自分に任せてほしいと言ったきり、どうなっていたのか気になっていた。
けれど、自分が見えないところで理人が必死に自分を守ろうとしてくれていたことを知って、悠里はまた泣きそうになる。
「(あぁ、最近すぐ涙が出ちゃう……っ)」
「ありがとう、ございます高元さん。きちんと丹波さんに伝えておきますね」
涙のせいで震える声をどうにか誤魔化しながら、悠里は絞り出せる精一杯の返事をして力なく笑った。