【1話からの長編大賞用】冴えなかった元彼が、王子様に変身して帰ってきた。




 悠里の冷静な態度と穏やかな声のトーンに、美桜はハッと顔を上げた。


 「は、はい。残ってますけど、それをまた一からデザインを統一してまとめ直すなんて、もう絶対間に合わないです」

 「私がやってみてもいいでですか?デザインのフォーマットは以前と同じものを使ってもいいですか?」

 「え、奥畑さんが……?できるんですか?」

 「元データとフォーマットがあればおそらく」

 「ほ、本当ですか!?」

 「それと、お弁当の件ですが──……」



 悠里は手元のメモ帳を素早く確認しながら、白神部長に向き直った。


 「『松の井』の追加は難しいですが、同じような高級弁当でしたら『割烹・柊』であれば追加分の手配は可能かと」

 「いや、でもどうだろう。あそこは確か一見さんはお断りだったはずです」

 「前職で少々お付き合いのあったお店ですので、私の名前を出してもらえれば無理を聞いてもらえるかもしれません。手配してもよろしいですか?」

 「そ、それはもう助かります」



 入社して数週間という社歴の悠里が、まさかここまでできる人材だったとは誰も気づかなかった。

 悠里の迷いのない段取りに、先輩である真紀子たちや白神部長までもが驚いている。



 「桜庭さん、今日の会議に十人以上追加となれば、今予約している会議室は使えないかもしれません。早めに大きいところを押さえ直しておいたほうがいいかもしれません」

 「ハッ!そ、そうですね!」

 「あと、今からデータをまとめるので、桜庭さんも一緒に見ていただけませんか?」

 「も、もちろんです!奥畑さん、本当に助かります!このお礼は絶対させてください……!」

 「じゃああたしは柊がオッケーだったらお弁当取りに行くね!」

 「ならあたしたちは会議室の変更と椅子とか準備してくるから」

 「真紀子先輩、みなさんも……ありがとうございます」




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