【1話からの長編大賞用】冴えなかった元彼が、王子様に変身して帰ってきた。
ヘラヘラと笑いながら謝罪の言葉を口にする高元に、悠里は心の中でムッとした。
今回、割烹柊の奥さんが特別に追加分を用意してくれたから事なきを得たものの、もし断られていたらどうなっていただろう……と考えたところで悠里はニコリと微笑んだ。
「いえ、大丈夫です」
「アッハハ!君さ、心の中で絶対怒ってるでしょ!笑いながら言うんじゃねぇって!」
「そんな、違います!なんとか数を揃えることができましたし、お気になさらないでください」
「……いいね、奥畑ちゃん」
高元は悠里の前へ歩み寄ると、興味津々な顔をしながら彼女の顔を覗き込んだ。
理人とはまた違った、整った顔が悠里の瞳に映し出される。
「奥畑ちゃんがデータとか弁当の手配とか全部やってくれたんでしょ?上で君、噂になってたよ」
「う、噂ですか!?……大袈裟です、少し手伝いをさせてもらっただけです」
「そんな謙遜すんなっての!いやぁ、マジで助かったわ」
人懐っこい笑顔と明るい口調で近づいてくる高元に、悠里は思わず後退る。
それを見逃さなかった高元は、クッと口角を上げてさらに一歩悠里に近づいた。
「ねぇ、お詫びに今度美味いもん奢らせてよ」