【1話からの長編大賞用】冴えなかった元彼が、王子様に変身して帰ってきた。




 けれど、理人が一生懸命に頑張っているプロジェクトの一部だ。

 まだなんの役にも立てていない自分が少しでも理人の力になれるのであれば、という気持ちが先行してしまう。

 何より、仕事を放棄したと理人に伝わってほしくなかった。



 「……やるしかない、よね」





 それから悠里は残業とパソコンを家に持ち帰ってから家でも作業をするようになった。

 いくら多忙な日々に慣れている悠里とはいえ、疲労を感じないわけではない。



 「(あと少し……。理人くんのためにも、完璧に仕上げないと)」

 そう意気込んで袖を捲ったとき、悠里の部屋の扉がコンコンと音を立てた。






 「ねぇ、悠里ちゃん。今、時間あるかな?」

 「あ、えっと……」

 どう答えようか迷った挙句、悠里はゆっくりと扉を開けて理人と顔を合わせた。



 「大丈夫だよ、何かあった?」

 「あ、えっとね?お腹すいちゃったからうどん作ってみたんだけど、よかったら悠里ちゃんも一緒に食べない?」

 「え?」

 「あ、あのね最近料理にハマってて!我ながらすっごい美味しくできたから、その、悠里ちゃんにも……食べてもらいたくて」






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