【1話からの長編大賞用】冴えなかった元彼が、王子様に変身して帰ってきた。
けれど、いくつものプロジェクトを抱えている多忙な理人にこれ以上迷惑はかけたくなかった。
加えて彼氏に振られ、家すら借りれない今の自分をこれ以上情けないものにしたくはなかった。
そして何よりも、『君は一人じゃ何もできないんだね』と言われ続けてきた裕一の呪いのような言葉が、悠里の喉を塞いだ。
「……ううん、忙しいのは本当に今だけだから平気だよ!」
「……」
「それより理人くんのうどん、食べてみたいかも!」
そう思うと、自分でも驚くほどに健気な声が出ていた。
……あと少しの辛抱だ。
「(私なら、頑張れる……っ)」
そう自分に言い聞かせて、悠里は浮かない表情を浮かべた理人の手を引いてリビングへと向かって行った。
久しぶりに理人と向かい合ってご飯を食べたのは久しぶりだった。
「ありがとう、理人くん。元気出たかも」
「悠里ちゃん、あのね?何かあったら、俺を頼ってね?」
「……っ」
「たとえ何があっても、俺は悠里ちゃんの味方だから」
理人の表情からは本気で悠里のことが心配でたまらないといった気持ちがあふれ出ていた。
悠里はまた泣きそうになるのを今度はグッと堪えて、ニッコリと笑って見せた。