【1話からの長編大賞用】冴えなかった元彼が、王子様に変身して帰ってきた。
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それから悠里は三日間、熱を出して寝込んでいた。
けれど理人の至れり尽くせりな看病のおかげで、四日目の朝にはすっかり元気を取り戻した。
「悠里ちゃん、本当にもう大丈夫なの?また無理してない?」
「うん、本当にもう大丈夫。理人くんがずっと看病してくれたおかげ。本当にありがとう。それから……恩田さんのことも」
悠里は最近、理人と前ほど目を合わせなくなった。
理人の甘すぎる言葉と、大切にしてくれる行為に、無意識に顔が赤くなってしまうからだ。今もリビングのソファに座る悠里のことを、ネクタイを締めながら何度も体調の心配をしてくる理人に顔が火照ってしまっている。
そんな悠里を見て、理人は幸せそうに微笑んだ。まるであのとき恩田に見せた冷酷な表情が嘘のように、悠里のことを大事そうに見つめている。
「恩田さんは多分もう俺の秘書じゃなくなるから、安心してね?」
「そっか」
「あのね、悠里ちゃん。一つだけ、わがまま言ってもいい?」
そんな理人は、ネクタイを締め終えると改めて悠里と向かい合って目線を同じ高さまで揃えた。
「わがまま?うん、言って!理人くんにはお世話になりっぱなしだし、なんでも聞くよ!」
「今度から、もっと俺を……頼ってくれない?」
どんなわがままだろうかと少しだけ心を躍らせながら聞いていた悠里は、理人のそれを聞いた途端目を丸くした。
「え?」
「悠里ちゃんの前では情けないところばっかり見せちゃってるから頼り甲斐ないって思われてるかもしれないけど、もっと俺を頼ってほしい」
「い、いやいや!今でも十分頼らせてもらってるでしょ!?ほら、家のこととか生活費のこととか!恩田さんの件だって結局理人くんが解決してくれたじゃない!?」
「──でも俺、もっと悠里ちゃんに頼ってもらいたい。悠里ちゃんに何かあったとき、真っ先に呼んでもらえる男になりたい」