【1話からの長編大賞用】冴えなかった元彼が、王子様に変身して帰ってきた。







 「──以上のように、A社の旧式モデルは耐久性に難があり、B社のシステムはランニングコストがかかりすぎます。それに比べて我が社の次世代型食品加工機は……」



 プレゼンにはその会社の色が濃く滲み出る。

 自分たちの理念を掲げてくるところ、追求した技術を全面的に売り出すところ、そして徹底的に他社と比較し、製品を落とし、自社のものこそが正義だと押し付けてくるところ。



 裕一たちの会社はまさしくそれだった。

 競合を蹴落として自分を良く見せようとするその不誠実な姿勢は、理人や阿部部長のビジネス方針とはそぐわない。




 開始から十分が経過したところで、理人は手元の資料をパタッと閉じて淡々と声をあげた。



 「……もう結構です」

 「はい?あの、まだ途中なのですが……」

 「十分拝見させていただきました。本日のコンペは御社で最後ですので、これにて終了とさせていただきます」




 一切の感情を宿さず、まるで事務作業をこなすような理人の冷ややかな態度に、裕一は顔を真っ赤にして声を荒げた。


 「お待ちください。一体どういう権限で……って、君は」

 裕一はここにきて初めて理人の顔と、目の前にあるネームプレートの『丹波理人』という名前をまじまじと見比べて目を大きくして驚いた。





 「お久しぶりですね、玉木さん」

 「丹波……理人」






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