【1話からの長編大賞用】冴えなかった元彼が、王子様に変身して帰ってきた。
そして迎えた、同窓会当日。
都内のホテルを貸し切って開催されたこの会場は、五年ぶりに再会する同級生たちの熱気で溢れていた。
「悠里、久しぶりー! 全然変わってないね!」
「わぁ、みんな久しぶり!元気だった?」
グラスを片手に近況報告に花を咲かせる友人たち。
ある子は同じ職場で知り合った人と結婚して幸せな家庭を築き、ある子は二人の子供に恵まれ育児に翻弄されながらも、先月マイホームを建てたのだという。そしてまたある子は、誰もが知る大企業で出世街道を歩んでいた。
悠里も最初はそんな昔からの友人たちの話を楽しそうに聞いていた。
けれど、だんだんと話が進むにつれて、悠里は自分の胸の奥に冷たい何かがのしかかってくるのを感じた。
「(みんな、すごい幸せそう……)」
それに比べて、自分はどうだろう。
今の悠里が幸せだと感じていないわけじゃない。
何より隣には理人がいてくれる。
それが何よりも心強くて、頼もしくて、理人と毎日一緒にいるたびに好きだと思う気持ちが増していっている。
けれど、理人がいない単品の自分はどうだろう。
二十九歳で二年付き合った婚約者に裏切られ、仕事も住む場所も失い、這い上がるようにして今の会社に転職したばかり。
「(理人くんはあぁ言ってくれるけど、本当の私は……みんなから見たらただの落ちこぼれだ)」
眩しすぎる友人たちの輪の中で、悠里は今の自分がひどくちっぽけで惨めな存在に思えた。
スタートはみんな同じだったはずなのに。十年という月日の中で、こんなにも残酷に差が開いてしまったことに、ふと足元がぐらつくような感覚を覚えた。
それでも、せっかくの同窓会で暗い顔は見せられない。
悠里はなんとかその感情を心の奥底に押し込んで、必死に笑顔を作った。