【1話からの長編大賞用】冴えなかった元彼が、王子様に変身して帰ってきた。
そして同窓会も終盤に差し掛かってきたとき、友人の芽衣が思い出したように声を上げた。
「そう言えばさ!悠里の元彼って、確か丹波君だったよね!彼、今めっちゃ大手で働いてるんでしょ!?」
「あ、それ私も知ってる!この前ビジネス誌に掲載されたらしいじゃん?」
「ってかテレビにも出てなかった?企業紹介みたいな番組だったはず。あたしの旦那が見てたんだけど、何気にチラッと覗いたら知ってる顔が映っててビックリしたもん!」
突然理人の名前が出た瞬間、周囲の視線が一気に悠里に集まる。
「高校の時は大人しい人ってイメージしかなかったけど、今すっごいエリートじゃん!?しかもイケメンじゃない?」
「分かる!悠里って確か、高校卒業と同時に別れてたよね。今はどうなの!?連絡とか取ってんの?」
矢継ぎ早に投げかけられる質問に、悠里は曖昧な笑みを浮かべることしかできなかった。
テレビや雑誌に載るようなエリートになった理人に、すっかり落ちぶれた今の自分が恋人ですとは言えなかった。
「あ、えっと、それは……」
どうにかやり過ごそうと言葉を濁していると、そこへ「……お、悠里じゃん」と見知った声がした。
それは高校時代、同じバスケ部だった白崎拓也だった。
「え、なになに?悠里の恋バナ?俺すげぇ興味あるんだけど」
「ちょっと、拓也!?割って入ってこなくていいから!」
「で?悠里って今フリーなの?……じゃ、俺が悠里のこともらっちゃおうかなぁ」
気心の知れている拓也の冗談に、悠里は少しだけ救われた。
拓也とは高校生のときから一番仲のいい男友達だった。当時は部活や先輩たちの愚痴をお互いに言い合っていたし、三年生のときは同じクラスにもなった。
「あ、やば。あたしそろそろ帰んないと、だ」
「私も。実は明日仕事なんだよねぇ。最悪なんだけど」
「じゃあそろそろみんな帰るかぁ」