【1話からの長編大賞用】冴えなかった元彼が、王子様に変身して帰ってきた。
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理人が運転する車は、二人が暮らすマンションの地下駐車場へと滑り込んだ。
指定の駐車スペースに車を停めると、理人は悠里のほうを向いてニッコリと微笑んだ。
「着いたよ、悠里ちゃん。もう遅いから今日は早くゆっくりしようね」
「うん、ありがとう。理人くんこそ、出張からそのまま迎えに来てくれたんだよね。大変だったでしょ」
悠里がそう言って微笑み返すと、理人はたまらなく嬉しそうな顔を浮かべた。
二人で一緒にマンションのエントランスへ入って、エレベーターに乗って二十五階のボタンを押す。
そして家に着いた途端、理人は玄関の壁に凭れたかるようにして体重をかけた。
「理人くん……?」
「あぁ、ごめん。なんかちょっと……目が回ってる、かも」
「え!?」
慌てて理人を支えようと腕を伸ばして触れた瞬間、異常なほど高い体温に悠里は驚いた。
「理人くん、すごい熱!とりあえず横になろう」
「ごめんね。薬飲んできたから大丈夫だと思ってたんだけど……切れてきちゃった、みたい」
苦しそうに荒い息を吐きながらも、理人は悠里を安心させるように力なく笑う。
いくら体力のある理人とはいえ、前日からほとんど睡眠を取らずに仕事をこなし、一緒に出張へ行った同僚はもう一泊しているところを理人だけが最終の便で帰って来て今に至る。
すべては、悠里を不安にさせないために。そして、他の男に取られたくないという、ただその一心で。
「謝らないで。とにかくコート脱げる?私が支えるから」
「いや、悠里ちゃんは先に行ってて?俺一人でできるから……」