【1話からの長編大賞用】冴えなかった元彼が、王子様に変身して帰ってきた。





 その言葉に、悠里は悲しくなった。

 理人が悠里にもっと自分のことを頼ってほしいと思っているのと同じように、悠里も理人に頼られたいと思っている。
 


 「私じゃ、頼りない?」

 「そ、そんなことないよ!ただ、悠里ちゃんだって疲れてるし、それに風邪だったらうつすわけにもいかないし……」

 「じゃあもし私が理人くんみたいに風邪を引いたときも、理人くんはそんなふうに私を一人にするんだ?」

 「するわけないでしょ!?」

 「……ね?私も同じ気持ちだよ」



 そう言って悠里は有無を言わさぬ優しい笑顔を向けると、一歩踏み出して、理人の大きな体にぐっと身を寄せた。

 そして、理人の腕を自分の肩へと回して、その重たい体をしっかりと支える。




 「ほら、しっかりつかまってね。ベッドまで運ぶからね」

 「……あぁ、もう。本当に悠里ちゃんには敵わないな」




 理人は観念したように小さく笑うと、悠里のいうとおりに体を預けた。

 高熱でしんどそうにしている理人を見て、こんな状態でも心配だからと迎えに来てくれた理人のことを、悠里はまた好きになった。



 理人を横にならせて、そっと彼の首元を締め付けていたネクタイを緩めて、ジャケットを脱がせる。





 「も、もうあとは一人でできるから……!」

 「こんなときに遠慮しないで!まずは部屋着に着替えてリラックスしないと、でしょ?」

 「き、着替えるくらいの力はまだあるから……!」

 「どうしてこんなときまで恥ずかしがるの?私、これでも一応理人くんの彼女、ですけど?」

 「ゆ、悠里ちゃん俺に今意地悪してる!?これ以上熱あがると俺、死んじゃうよ!?」

 「だから氷枕とか早く用意したいのに、理人くんがモジモジしてるのがいけないんでしょ!?」




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