聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 アンナの記憶がそのままマリーに映し出される。

 アンナは自分の葬儀前にエドワルドからの愛の言葉を聞き、寂しそうに膝を抱えて白バラのアーチの中で座り込んでいた。
 座り込んでいると、アンナの前にエドワルドの聖剣で突かれた胸を押さえながら魔王が現れる。
 魔王は英雄聖騎士と結ばれたいのならば、英雄聖騎士の死後にその魂と共に魔王の元へ堕ちれば二人は魔界で結ばれるとアンナを誘惑する。
 アンナが魔王の元へ堕ちればアンナは聖女ではなくなる。
 魔王の手に堕ちたアンナは魔王に命を奪われた事と同じになる。
 魔王の誘惑を聞き、アンナの欲は揺れ動いて答えを出せない。
 ふとアーチに咲いている白バラがアンナの目に入ると、エドワルドの言葉がアンナの中に蘇る。
 『アンナは白バラが似合うな』
 アンナは自分を純潔と言ってくれたエドワルドの言葉を思い出す。
 魔王の誘惑に負けそうになった所をエドワルドに贈られた白バラがアンナの支えになった。
 アンナは立ち上がり、魔王と対峙する。
 「わたしは聖女、白バラのアンナ。わたしの色は初めから決まっているわ」
 アンナはエドワルドの英雄聖騎士の名誉とエドワルド自身を想い、魔王の誘惑を強い意志ではねのけた。

 アンナの記憶が終わり、マリーは当時のアンナに心を痛める。
 (アンナ様にそんなことがーー)
 当時のアンナを思うとアンナの迷いと辛い気持ち、強い意志がマリーの胸の中に溢れてくる。
 (アンナ様は本当にエドワルド様を大切に想っているのね)
 マリーはアンナがエドワルドを深く愛し、愛してくれた自分でいたいというアンナの強い気持ちが選んだ選択であり、現在があるのだと知った。
 マリーは改めてアンナの愛の深さと意志の強さを感じた。
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