聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 マリーはアンナの意志の強さを感じ取り、再び魔王に抵抗するレユスットに視線を向けると、フィデリックが博物館から馬に乗って駆けつける。
 「どうなっているんですか?」
 「いまレユスット様が魔王さんと戦っているところです」
 フィデリックが馬から降りて現状をウィラルドへ確認すると、代わりにマリーが答える。
 「……加勢しないんですか?」
 フィデリックは魔王によって追い詰められているレユスットを見ているだけのウィラルドへ慎重に尋ねる。
 「…………」
 ウィラルドはフィデリックの言葉に答えず、凄みを効かせた表情で戦いを見つめているだけだった。

 魔王は抵抗するレユスットをいなしながら、言葉でも追い詰めていく。
 「英雄聖騎士を語る偽者。死に損ないの聖女がいないと何もできないか。俺様には魔術は効かない。また誰かの力を搾取し、弱らせて捨てるか」
 レユスットは真実を言われ、苦い顔をする。
 「死に損ないの聖女って……」
 ハンナはマリーがウィラルドによって自分の教会へ運ばれてきた時の事を思い出す。
 マリーの顔は血の気がないような青白い顔で、呼吸をしているのかも分からないほど小さく浅かった。
 ハンナはマリーを村の医者に診せると、生きているのが不思議なほど身体が弱っていると言っていたのを覚えている。
 「マリーさんの体調不良はあなたのせいだったのね」
 ハンナは普段のゆっくりとした口調とは違う、怒りを露わにした声でレユスットを睨む。
 「最低」
 聖騎士団長のレユスットに力を搾取された事によってマリーが死にかけていたという事実に気づくと、ハンナは無意識に言葉が零れていた。
 「それって本当? アイツ、マリーちゃんにそんな事したの? マジで信じらんない!」
 ヘレナはハンナの言葉を聞き、レユスットを批難する。
 魔王の言葉によって、レユスットが聖女から力を搾取した事が広場に集まった人々に広まる。
 レユスットは魔王を倒す希望の聖騎士団長から、聖女の力を搾取して英雄聖騎士を語った偽者として批難される。
 「お前も搾取される感覚を味わってみるか?」
 レユスットの足元に黒い魔法陣が現れる。
 「ぐっ……!」
 レユスットは胸を押さえて、膝をつく。
 「このまま俺様に生命力を搾取されて死ぬか?」
 レユスットは苦しそうに荒い呼吸をしている。
 今まで黙って見ていたウィラルドが英雄聖騎士の聖剣を手にしたままレユスットへ近づいていく。
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