聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 「待て」
 レユスットの前に立ち、表情のないウィラルドが魔王を制止する。
 「助けてくれるのか!?」
 レユスットは庇うように自身の前に立つウィラルドが一縷の希望のように感じて表情が明るくなる。
 「此奴は俺が殺す」
 「え……」
 レユスットはウィラルドに宣言され、小さく声を発するのがやっとだった。
 ウィラルドの静かに感情を抑えた声がレユスットの背筋をさらに凍らせ、思考と身体を固まらせる。
 魔王は面白いとばかりにあざ笑い、事の成り行きを楽しむためにレユスットの生命力を奪う魔法陣を消す。
 ウィラルドは固まるレユスットを気にせず、言葉を続ける。
 「怒りで理性を失いそうになるのは初めてだ。俺は自分でも何をするか分からない」
 ウィラルドは振り返り、レユスットを見下ろす。
 ウィラルドの目が据わっている。
 レユスットはウィラルドの言葉は本気だと悟る。
 ウィラルドは膝を付いているレユスットの胸ぐらを左手で掴むと、レユスットは恐怖で怯えた表情を見せる。
 「貴様は何のために存在している?」
 ウィラルドはレユスットの胸ぐらを掴んで立たせると、そのまま突き飛ばした。
 「魔王に逃げ腰、マリーを置いて逃げる。貴様は何のための聖騎士団長だ?」
 「置いて逃げた? どこに証拠があるか言ってみろよ」
 レユスットは恐怖を消すように必死に言い返す。
 その時のレユスットは焦って逃げていたが、注意深く周りに気を配っていた。
 誰にも見られていないはずだ。
 証拠はないはずだが、ウィラルドはレユスットが思いもよらない言葉を返す。
 「貴様が聖騎士だからだ」
 「何?」
 「聖騎士は聖女を守るのが務めだ。聖女のそばを離れ、一人で逃げるなどあってはなならない」
 レユスットは頭では理解している事だが、レユスットは一人で逃げる選択をしてしまった。
 「そして貴様は俺に最悪の既視感を見せた。万死に値する」
 ウィラルドは突き飛ばされて尻餅をついているレユスットに近づき、英雄聖騎士の聖剣を向ける。
 レユスットはウィラルドの言っている既視感が何の事か分からない。
 ウィラルドの表情から必死で抑えている、すぐにでも決壊しそうな静かで激しい怒りがレユスットを硬直させる。
 ウィラルドはレユスットに英雄聖騎士の聖剣を振り上げる。
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