聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 「聖騎士王太子殿下、やめてください!」
 フィデリックは聖剣を持つウィラルドの右腕を掴んで制止させる。
 フィデリックはウィラルドがこんなに感情的になるのを初めて見た。
 フィデリックに制止され、ウィラルドは静かに話し出す。
 「お前に俺の気持ちが分かるか?」
 「聖騎士王太子殿下の気持ちですか?」
 フィデリックはウィラルドにとってマリーが大切な女性という事を理解している。
 レユスットがマリーへした事は魔王が言っていた。
 怒るのは当然だが、フィデリックはウィラルドがレユスットを殺そうとするまで激しい感情を見せる理由が分からない。
 「お前は愛する人が死ぬところを見たことあるか? 守ると誓ったのに、何もできずに見送ることしかできなかった無力感をお前は理解できるか?」
 ウィラルドは震えを抑えるような悲痛な声でフィデリックへ静かに話す。
 ウィラルドはエドワルドと自分の記憶を混同している。
 今のウィラルドは雪が降る森に倒れたマリーと目覚めない眠りについているアンナが重なっている。
 「此奴は雪が降る森の中に聖女の力を使い果たして動けないマリーを見捨てた。俺が駆けつけなければどうなっていたか分かるか?」
 魔物が現れる危険な森は聖騎士以外に誰も踏み入れない。
 フィデリックは最悪の結末しか想像できなかった。
 「俺は此奴を絶対に許せない」
 ウィラルドは憎しみを露わにしてレユスットを睨む。
 「聖騎士王太子殿下ーー」
 フィデリックはウィラルドの激しい感情の前に言葉を失っていると、後ろから静かな足音が聞こえてくる。
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