聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 マリーが小説を読み進めるうちに雨雲が消えて、夕陽が部屋へ差し込んでいた。
 マリーは静かに本を閉じて、感動の声を上げる。
 「なんて素敵なお話なの! これが、恋愛なのね」
 マリーは目を輝かせながら本を抱きしめる。
 幼い女の子が童話のお姫様に憧れるような純粋な気持ちを抱いた。
 マリーが感動していると外出していたハンナが部屋に帰ってきた。
 「あら、こんな所にいたのね~」
 「おかえりなさい、ハンナさん。この本、とても素敵ね。わたしもこんな恋愛をしてみたいです!」
 マリーは瞳を輝かせ、興奮ながらハンナに訴える。
 「マリーさんにそんなに褒めてもらえるなんて光栄だわぁ」
 ハンナは照れて表情を緩める。
 マリーはハンナが何を言っているのか分からず見つめる。
 「それ、私が書いた本なの」
 「そうなの!?」
 マリーは目を丸くして驚き、本の表紙を見つめる。
 「もっとお話を読ませてください!」
 マリーは興奮してハンナに詰め寄ると、ハンナは申し訳なさそうな表情をして答える。
 「ごめんなさいねぇ、まだその一冊しかないのよ~」
 「そうなのね……」
 マリーは残念そうに表情を曇らせて本の表紙を見つめて本の中で幸せになった二人を思い、顔を上げると淡く心に決めた事をハンナに話す。
 「あの、ハンナさん。恋愛ってどうやってするの?」
 「う~ん。難しい質問ねぇ。妹のヘレナなら答えられると思うけど」
 「こんな素敵な小説を書けるハンナさんでも難しいのですか?」
 「リアルな恋愛って色々あるのよ。昔からヘレナばかりに男性が集まってモテてたのよね~。可愛くて愛嬌があるからかしらぁ」
 ハンナは歳が離れた自分の妹のヘレナをぼんやりと思い出す。
 ヘレナは明るく華がある美人で愛嬌があるため、男性に限らず周りにいつも人がいた。
 「そうなのね。いつか妹さんに会ってみたいわ」
 「やりたいこと、見つかったのね」
 「でもこれはやりたいことに入るのかな……」
 マリーは恋愛をしたいだなんて、やりたい事に入るのだろうかと不安に思う。
 次の職業など、もっと現実的な事の方が良いのではないかと頭によぎる。
 「やりたい気持ちを大切にしてみてね」
 ハンナはマリーの背中を押す。
 ハンナにとって、今まで聖女としての生活しか知らなかったマリーが恋愛したいと思うのはとても嬉しい事だった。
 「はい!」
 マリーはハンナに元気よく返事をする。
 ハンナは恋に興味津々な年頃の女の子を優しげな眼差しで見つめる。
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