聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 マリーは辺境伯からその話を聞いた足で森の小高い丘の上にある廃修道院へ一人で来ていた。
 マリーは廃修道院の聖堂にある朽ちた長椅子に座ると暗く深い溜め息を吐いて、いつも首から下げている聖女のロザリオを手に取って見つめる。
 マリーは聖女になってから、人々が平和で穏やかに過ごせるように祈り続けてきた。
 マリーは聖女の力を失い、何もできない自分を責め続けた。
 「はあ……」
 マリーは何度目かの暗い溜め息を吐くと、不意に男性から名前を呼ばれる。
 「マリー」
 名前を呼ばれてその方向へ振り向くと、ウィラルドがマリーのそばに立っていた。
 「ウィラルド様……」
 「もう二時を過ぎているぞ」
 「あっ……!」
 マリーはウィラルドとの約束の時間を忘れて、一人で落ち込んでいた事に気づく。
 「ごめんなさい! でも、どうしてここにいると分かったの?」
 「俺がマリーの聖騎士だからだ。……と言いたいが、一緒に見回った場所を回っただけだ」
 「探してくれてありがとう」
 マリーは暗い表情のままウィラルドへ礼を伝える。
 「どうしたんだ? 今日は元気がないぞ」
 マリーは話そうか迷ったが、辺境伯から聞いた祖国で起こっている現状をウィラルドへ話し始める。
 「今日の午前中に辺境伯のお屋敷へ伺って、祖国の境界線の力が弱まっているのを聞いたの。レユスット様も魔物を倒せなくなっているみたいだし……。このまま国に大きな被害が出たらどうしよう……」
 マリーは大聖女アンナ伝説でしか知らない災厄が祖国で起こってしまうのではないかと不安になり、両手を強く握る。
 ウィラルドはマリーのそばに座り、優しい眼差しでマリーを見つめて両手でマリーの手を柔らかく包む。
 「マリーは優しいな。実はマリーの祖国から魔物討伐協力の依頼が来ている。俺の国とマリーの祖国はあの森を挟んでいるから討伐場所は同じ。まだ何も決まっていないが、俺は王太子であり聖騎士として善処する結論を出そうと思っている」
 「協力してくれるのですか?」
 ウィラルドは頷くとマリーは表情を明るくする。
 「ウィラルド様、ありがとうございます!」
 マリーはウィラルドから嬉しい言葉に感謝すると、どこからかは虫類のような鳴き声が聞こえる。
 「ん?」
 マリーは耳を傾けて「キュー」と鳴いている声の方を向く。
 「この声……」
 マリーは声がする方へ歩き出し、ウィラルドはその後を追う。
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