聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 マリーは廃修道院の建物を出て、辺りを見渡すと声の主を見つける。
 「キュー」
 鳴いていたのは以前にマリーが庇って助けた赤ちゃんドラゴンだった。赤ちゃんドラゴンはあの時より一回り大きく成長していた。
 「あの時の子だわ。よかった、元気だったのね。でも、どうしてここにいるの?」
 マリーが庇っていたのは魔物が出現する森だったはずだ。
 「ドラゴンの子供か。まだ幼いな。……まさか、どこかの境界線を突破してやってきたのか?」
 ウィラルドは可能性を口にすると表情をこわばらせる。
 「こんな小さな子が?」
 ドラゴンとはいえ、まだ幼く無力と言える魔物が境界線を越えて来てしまっている。
 どこか境界線の力が弱まっている場所から来てしまったとすると、それ以上の力を持つ魔物は簡単に境界線を越えてしまうだろう。
 「……! ウィラルド様、あそこにーー」
 マリーは指をさして、怯えた瞳で視線を向ける。
 マリーとウィラルドの前に複数の魔物が現れる。
 「魔獣か」
 ウィラルドは腰に下げている聖剣の柄を握る。
 犬のような姿をしている魔物は魔獣と呼ばれている。
 魔獣は他の魔物より攻撃性が高く、凶暴だ。
 魔獣は黒いもやを纏っており、こちらを威嚇している。
 黒いもやを纏っている魔物は討伐対象だ。
 リーダーのような魔獣は七メートル以上あり、その後ろに一般的な大型犬ほどの大きさの魔獣が五体ほど現れる。
 マリーが聖女だった頃、騎士団長のレユスットと討伐へ行った際に魔獣と遭遇したことがあった。
 その時の魔獣は大型犬ほどの魔獣が一体だったが、レユスットの部下たちも加わらなければ倒せなかった。
 「あんなに大きい魔獣を倒せるの? それに他にもたくさんいるわ」
 マリーはウィラルドが一人で倒せるのか不安になるが、ウィラルドは鋭い眼光で魔獣を見据えている。
 「マリーは俺が守る」
 ウィラルドは腰に下げている聖剣を引き抜く。
 ウィラルドはマリーを庇うように前に出て魔獣と対峙する。
 マリーは目を瞑って首から下げている聖女のロザリオを両手で握り、ウィラルドが無事であるようにと大聖女アンナに祈る。
 するとマリーの手の甲に聖女の紋章が現れて白く強い光を放ち、ウィラルドの聖剣の刀身が白い光を放つ。
 「え……? わたしの聖女の紋章? それにウィラルド様の聖剣がーー」
 「白く光っている……」
 マリーは自分の手の甲に聖女の紋章が現れた事に驚き、ウィラルドは初めて見る自分の聖剣の輝きに目を奪われる。
 「ウィラルド様!」
 マリーはウィラルドに飛びかかってくる魔獣の危険を知らせるために名前を叫ぶ。
 大型の魔獣がウィラルドに飛びつくが、ウィラルドが白い光を放つ聖剣を振るうと大型魔獣を弾いた。
 「なんだ、これは? ……まさか、聖女の力か?」
 ウィラルドは自身の力が高まっていくのを感じる。
 ウィラルドは自分でも信じられない力を発揮して魔獣を一瞬で一掃した。
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