聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 今日もアンナとエドワルドは森へ魔物を討伐にやってきている。厚い灰色の雲が空を覆い、太陽の光を遮っている。
 「あっ……!」
 森の奥へ続く道を歩いていると、弱い雨が降り出してきた。
 アンナは右手、手のひらで雨を受け止めながら微笑む。
 アンナの好きな天気に変わる。
 「降ってきたな」
 「そうね、困った天気ね」
 雨が降り出した空を見上げているエドワルドは嬉しそうに微笑むアンナに気づいていない。
 二人は近くの木の下で雨宿りをする。
 雨が降っている時はほとんどの魔物は活動しないため、魔物討伐は中止になる事が多い。
 静かな雨の音が二人を包んでいる。
 アンナとエドワルドは雨宿りをしながら、いつも他愛ない話をしている。
 今日も例外なく他愛ない話が始まる。先に話し出したのはエドワルドだ。
 先日、エドワルドの母の誕生日パーティーがあったようで、エドワルドは当主として招待客への挨拶回りが忙しかったとアンナに話した。
 アンナはにこやかな笑顔でエドワルドの話を聞いている。
 「お母様がたくさんの方にお祝いされたのが目に浮かぶわ。エドワルド様のお誕生日はいつかしら?」
 「俺はもう過ぎてしまった。アンナは?」
 「実はもうすぐ誕生日なの」
 「母と誕生日が近かったのか。俺にもアンナの誕生日を祝わせてくれ」
 アンナはエドワルドの申し出に嬉しそうな表情になりかけたが、無理に抑えた。
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