聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 アンナとエドワルドはまだ雨が降る空を見上げていると、エドワルドが再び話し始める。
 エドワルドはアンナを見ずに、雨が降る空から視線を変えずにアンナへ問いかける。
 「アンナはこの世界が平和になったら、何かやりたい事はあるか?」
 アンナとエドワルドは世界を平和にするために魔物を討伐している。
 「平和になったら……」
 アンナは瞳を閉じて平和になった世界にいる、自分の未来を想像する。
 アンナは瞳を閉じると、爽やかな青空が広がる、白バラが咲き誇った教会が目に見える。
 アンナは白いドレスを着てエドワルドの隣で幸せな笑顔を浮かべて立っている姿が頭の中に浮かぶ。
 しかしそれは叶わない未来だ。
 修道女のアンナは教派の決まりにより、婚姻できない。
 アンナは自分のやりたい事は戦いが終わり、平和な世界になっても叶わない夢だと理解している。
 アンナは静かに息を吐いてエドワルドの問いに答える。
 「このままでいいわ。エドワルド様と会ってお話しできる時がいつまでも続いてほしいわ」
 「慎ましい願いだな」
 「エドワルド様は?」
 「俺は……」
 エドワルドはアンナに聞き返されて答えを詰まらせる。
 エドワルドはアンナと同じ未来を考えている。
 しかし二人はお互いが同じ未来を考えている事に気づいていない。
 エドワルドはアンナを困らせないように、アンナと同じ答えを伝える。
 「俺もこのままでいい」
 アンナは同じ答えを嬉しく思うと同時に悲しく思うと、その気持ちを気づかれないようにエドワルドへ言い返す。
 「つまらないわね。わたしと違って、エドワルド様はもっと欲深い願望を持ってもいいのに」
 アンナは自分と違い、教会の決まりに縛られないエドワルドを穏やかで明るい声でからかう。
 「欲深い、か……」
 エドワルドはアンナから視線を外すと、静かに溜め息を吐きながら言葉を呟く。
 エドワルドは再びアンナへ視線を戻すと、その華奢な肩を力強く抱き寄せる。
 二人は身体が密着して体温を感じる距離になる。
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