聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 アンナは疑問に思っていると、長椅子に座らされる。
 アンナは手から滑り落ちるような白に近いペールピンクの長い髪に触れられて、エドワルドに手で髪を梳かれる。
 「アンナは髪が綺麗だな。いつもベールを被っているから気づかなかった」
 「そうかしら。嬉しいわ」
 今日一日アンナは修道女の奉仕活動を休みにしてもらったため、ベールを被っていない。
 エドワルドはアンナの髪を慣れた手つきでまとめ始める。
 「慣れているわね。誰かにやっているの?」
 アンナが質問をすると、エドワルドはアンナの髪をまとめながら答える。
 「歳の離れた妹と弟がいる。母が髪を結ぶのが苦手らしく、メイドもいるのになぜか妹は俺に頼んでくる」
 「仲が良いのね。わたしは幼い頃に母にやってもらった事があるわ」
 アンナは母と二人で暮らしていた頃を懐かしく思いながら、楽しげな家庭で過ごすエドワルドとその家族を想像する。
 エドワルドが妹へ髪を結んでいる光景が目に浮かび、無意識に言葉が零れる。
 「……もしかしてわたしを妹のように思っていたりする?」
 「妹は一人で充分だ」
 エドワルドはアンナの髪を結ぶ手を止めずに即答する。
 アンナはエドワルドの答えを聞き、笑顔になって満足する。
 アンナはエドワルドが少しでも自分をどう思っているのかを知れて嬉しかった。
 エドワルドは慣れた手つきでアンナの髪をまとめ、白バラに付いている淡い桃色のサテンリボンで髪を結ぶ。
 アンナの髪には二色のリボンが重ねて付けられている。
 白バラに付けられていた淡い桃色のリボンともう一つーー。
 エドワルドが最後までどちらにしようか悩んだ瑠璃色のリボンも一緒に結んだ。
 瑠璃色はアンナとエドワルドが魔物討伐の時に身につけているローブと外套の色だ。
 エドワルドは二人の絆の色としてアンナに贈った。
 そのリボンは髪に結ばれているアンナからは見えず、本人がリボンを解くまで気づかない。
 エドワルドは白バラの棘を取り、茎を短くしてアンナの髪を飾る。
 ハーフアップにされ、後ろで一つに結ばれたたアンナの髪はリボンと同じ位置に白バラが付けられる。
 「アンナ、綺麗だ」
 エドワルドは白バラを身につけたアンナを見ると、ここが修道院という事もあって白い祝福のドレスを着たアンナが目に浮かんだ。
 アンナは嬉しそうに笑みを浮かべる。
 「今度は違う服装の時に言われたいわ」
 アンナはエドワルドと同じ衣装を思い浮べて冗談交じりに言う。
 アンナは髪がどんな風に結ばれているか確認しようと雨が降る窓へ移動して後頭部を確認する。
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