聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 暗雲が広がる中、エドワルドは血相を変えてアンナの修道院へ馬を走らせている。
 その理由はアンナの仲間の修道女からアンナが危篤だという知らせを受けたからだ。
 エドワルドは思考ができない真っ白な頭で最近のアンナを思い出す。
 エドワルドはアンナの体調が悪いと聞いていたが、それ以上の事はアンナ自身から聞いていなかった。
 聞こうとしたが、何度もアンナにはぐらかされてしまった。

 エドワルドは修道院へ到着すると馬を下りて聖堂へ入る。
 聖堂では修道院長がエドワルドを待っていた。
 修道院長はエドワルドをアンナの部屋へ案内しながら、アンナが危篤な事とその原因と思われる事をエドワルドに話した。
 その話しにエドワルドは息が苦しくなったが、アンナの部屋へ向かう足は止まる事がなかった。
 アンナの修道院は女子修道院のため、修道女の生活区域には男性が入る事を禁止されているが、修道院長の計らいで特別に許可された。
 エドワルドは修道院長と共にアンナの部屋を訪れる。
 修道院長がアンナの部屋の扉を開けると、アンナがベッドに仰向けで伏せっている姿がエドワルドの目に入る。
 アンナの部屋には白バラが一輪、二色のリボンが結ばれてベッドのそばに飾られている。
 エドワルドがアンナの誕生日に贈った白バラだ。
 白バラはまだ枯れずに咲いている。
 エドワルドは白バラ以外には必要最低限のものしかない、簡素な部屋に伏せっているアンナを悲痛に思う。
 どれだけアンナが自らの命と自分自身を犠牲にしていたのかと想像するだけで胸が引き裂かれるように痛む。
< 72 / 133 >

この作品をシェア

pagetop