聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 明るく穏やかな日差しが修道院の聖堂の中に降り注いでいる。
 今日は初夏の青空が広がり、日差しは明るく風のない穏やかな晴天だ。
 聖堂にいるエドワルドはアンナが眠る棺の前に立っている。
 棺の蓋が開いており、修道女の衣装と瑠璃色のローブを身につけたアンナが横たわっている姿が見える。
 二度と開くことがない瞳を閉じていても、アンナの美しさは変わらなかった。
 エドワルドはアンナが胸の下で手を組み、ロザリオを持っているその手に一輪の白バラも持たせるように添える。
 エドワルドはアンナへ静かに話しかける。
 「アンナ、貴女は白バラがよく似合う女性だった。以前に白バラの花言葉を知っているかと俺に尋ねたことがあったな。白バラの花言葉は純潔。貴女に相応しい花言葉だ。皆が貴女をイメージしている通りだ」
 エドワルドは言葉を切り、再び話し始める。
 「しかし俺は違う。アンナ、俺の気持ちを聞いてくれ。
俺が聖騎士として抱いているアンナへの気持ちは深い尊敬と私は貴女に相応しいという気持ちだ。俺は聖騎士として貴女を尊敬している。そして貴女の聖騎士は俺以外になりえないと思っている。そしてーー」
 エドワルドはゆっくりと呼吸をするように瞳を閉じて、ゆっくりと開く。
 エドワルドの悲しみに満ちた瞳に力強さが戻る。
 「その気持ちと共にもっと欲深い気持ちを持っている」
 エドワルドは深く息を吸って吐き、最後の最後にアンナへ伝える覚悟を決める。
 「俺が貴女に持っている欲深い気持ちはーー。アンナ、聖騎士としてではなく、一人の男としての俺の気持ちを聞いてくれ」
 エドワルドはアンナに添えた一輪の白バラに視線を向ける。
 「バラ一本の花言葉はーー。俺は貴女にずっと一目惚れをしていた。出会ったあの日からアンナは俺の心の中にいた。これからもずっと永遠に居続けるだろう」
 エドワルドは瞳を閉じなくてもアンナとの出会いから今までの事が心の中に思い出されていく。
 「聖女である貴女にずっと伝えたかった。ーー愛している」
 エドワルドは悲しみで震えそうな声を抑えながら、アンナへ愛を伝えて口づけをする。
 アンナの冷たい唇が生前の芯が強く、あどけなく可愛らしい表情がエドワルドの目に浮かぶ。
 エドワルドは二度と見ることができない愛している女性の笑顔と次々と思い出されていく思い出が浮かび、アンナに添えた白バラへ不意にひとしずくの涙を零す。
 エドワルドの涙を受けた白バラは朝露に濡れたように輝き始める。
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