聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 聖堂の扉が開き、誰かが中へ入ってきた。
 「こちらにいらっしゃったのですか」
 修道院長がエドワルドの背中に声をかける。
 エドワルドは今にも嗚咽しそうな声と涙が溢れ出そうな瞳をしている。
 エドワルドはアンナの部屋で号泣していた。
 また号泣してしまっては修道院長に聖騎士以外の感情に気づかれるかもしれない。
 アンナを聖女として送り出すため、誰かに聖騎士以外の感情を気づかれるわけにはいかなかった。
 エドワルドは唇を噛んで涙を飲み込む。
 「アンナ様に最期の別れをしていました」
 エドワルドは修道院長へ振り向くと、アンナを二人きりの時以外の呼び方で呼び、普段と同じ表情と声で答える。
 「そうでしたか。わたくしは席を外します」
 「いえ、もう終わりました。葬儀の準備を手伝います」
 エドワルドは修道院長と共に聖堂を出た。
< 75 / 133 >

この作品をシェア

pagetop