聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 馬車は何事もなくアンナの国、ルヴォア国へ入り、陽が暮れた頃に聖女修道院へ到着した。
 「アンナ、お大事に。また来るからね」
 アンナは頷きもせず、馬車で送ってくれたレユスットと聖女修道院の入り口で別れた。
 アンナは扉を開けて聖堂へ入ると、大聖女セレスティナは一輪の白バラを両手で胸に抱く大聖女像を見上げてアンナの帰りを待っていた。
 大聖女セレスティナはアンナの姿を見ると驚いたような表情で出迎える。
 「アンナ、生きているのですね。倒れたと聞いて心配しましたよ」
 大聖女セレスティナは聖女修道院を取り仕切る、聖女修道院長の代わりを務めている。
 セレスティナの身長は百七十センチほどあり、セレスティナの髪は脚の付け根が隠れるほど長くうねりがないストレートのホワイトブロンドをしている。
 セレスティナの全てを受け入れて包み込むような美しい顔立ちは神々しい印象と共に三十代前半の見た目に見えるが、年齢不詳の印象を受ける。
 「大聖女セレスティナ様、ご心配をおかけしました」
 「無事でなによりです」
 アンナはお辞儀をすると、セレスティナはアンナに安堵した笑みを浮かべる。
 「まだ顔色が良くありませんね。体調が回復するまで身体を休めるのですよ」
 「はい、分かりました」
 アンナはセレスティナへ再びお辞儀をして、自室へ戻る。
 アンナは自室へ戻るとベールだけを取り、コートを着たまま着替えもせずにそのままベッドに倒れ込んだ。
< 9 / 39 >

この作品をシェア

pagetop