聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました
 マリーとウィラルドは舞踏場のテラスへやってきた。
 テラスには賑やかで煌びやかな舞踏場の明かりが差し込み、星を散りばめた初夏の夜空が広がっている。
 テラスはマリーとウィラルド以外に誰もいなかった。
 ウィラルドは突然マリーの手を取り、腰に手を添えて社交ダンスの動きをする。
 「きゃっ!」
 マリーは小さい声を上げる。
 ダンスが踊れないマリーはウィラルドの足を踏まないように、おぼつかないステップを踏んでいる。
 最後にウィラルドはマリーを両手で持ち上げ、ターンをしてダンスをし終える。
 マリーは突然の事で驚いたが、ウィラルドとダンスが出来て嬉しかった。
 マリーはウィラルドの突拍子もない強引な所はウィラルドの優しさなのだと改めて気づいた。
 「急で悪かったな」
 マリーは謝罪するウィラルドを見上げる。
 「正直に話す。昨日のマリーの言葉、俺の気持ちがマリーへ全く伝わっていないのかと思い、一瞬キレた」
 ウィラルドがキレたというのは、マリーがアンナの生まれ変わりだから自分に優しくしてくれているのかという質問だった。
 「俺もマリーと同じ不安を全く抱いていないわけではない」
 「そうなの?」
 マリーはウィラルドが自分と同じ不安を抱いているとは思わず、ウィラルドの言葉にさらに耳を傾ける。
 「以前マリーは自分のどこが好きか俺に聞いたな。俺はアンナ様を芯の強い女性だと思っている。俺はマリーの優しい所が好きだ」
 「優しい、ところ?」
 優しさが当たり前になっているマリーは星空を見上げて記憶を辿り、自分の優しい所を探す。
 「自覚ないのか? どこがと言われても、見ていれば分かる。俺がマリーをよく見ているからな」
 マリーはウィラルドによく見ていると言われて照れて頬を染める。
 「キレたって言ってたけど、ウィラルド様はもう怒っていないの?」
 ウィラルドは頷くと、マリーは安心したように笑顔になって話し始める。
 「よかった! ウィラルド様を怒らせてしまって不安だったの。でもあの時のウィラルド様、他の方と話している時のウィラルド様みたいで素敵だったからドキドキしちゃったわ」
 マリーにはあの時のウィラルドが怖いというより、クールでかっこよく見えていた。
 ウィラルドはマリーへ笑みを浮かべ、マリーは不機嫌になった時のウィラルドを思い出して笑顔になる。
 「普通は怖がると思うが、マリーは変わっているな。あれでドキドキするのか。可愛らしいな。マリーはどんなドキドキが好きか教えてくれ」
 ウィラルドはマリーの腰を引き寄せて距離をなくす。
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