カズキ、10年愛〜不良のあなたに恋をして〜後編
□ □ □

名前を呼ばれ、診察室へ入る。

あらかじめ、尿をとったりしていた。


すでに、薬局で買った検査薬では、妊娠反応を示しているから、こんなのは意味がないのに…


母としては、万が一、間違えであって欲しいとの願望で受けたのかもしれない。


中に入ると、ドクターと看護婦さんが、消毒液の匂いをさせながらこちらに視線を走らせた。


「妊娠していますね。」

坦々としている。


「お母さん、どうしますか?ご出産希望されますか?」








母はためらいもなく、
『いいえ』と答えていた。









自分から諦めた事なんだれど、じわじわと、恐怖が体中に押し寄せてくる。





本当にこれで、よかったのかな…。







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