く ち な し―身代わりの恋
返信をすると、直ぐに電話がかかってきた。

《身体、大丈夫?》

とても優しい声だ。

「はい、さっきまで沢山、寝たから」

《なら良かった》

無性に大橋に会いたい。

「夫が戻ってくる前に、会えませんか?」

離婚の事を相談したかったし、恐らく奥さまも浮気をしているのに、離婚をしない大橋の真意も知りたかったから。

《分かった、またあの展望台で》

今夜、夫が帰ってくる。
どんなに離婚を拒まれても、もう夫婦を続けていくなんて無理だ。

私は、どうしようもないと知りながらも、大橋から優しい言葉を貰いたかった。
それだけで決意できるような気がしたから。

運転しながら、フッとある事を思い出した。
少し前のネット記事に、興味深いものがあったこと。

″不倫の純愛 ″ について。

その定義の一つに、


″身体の関係を持たない″ ″お互いの離婚を望まない″
というのがあった。


今の私は……大橋に求めてない?


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