く ち な し―身代わりの恋
「今日は遅れないで来たよ」

お昼前。
待ち合わせの場所に大橋は既に来ていた。

「遅れるかドタキャンのどっちかだものね」

私が突っ込むと、

「もしくは突然現れたり?」

笑いながら大橋が私の手を引き寄せた。

「どこに行く? 俺に任せる?」

私は頷いて大橋の車に乗った。
例のサングラスを渡される。

「昼間っから怪しい所に行くから」

大橋が向かった道は覚えがあった。
県境の山道。
お城のような下品な建物。
夫の祐介がレンタカーで入っていったラブホテルだった。
この場所を選んだのも大橋らしいし、私は嫌だと言わなかった。


大橋とこうなりたかったのかもしれない。
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