く ち な し―身代わりの恋
「外観はそうでもないけど中は古いな」

大橋が言うように、ホテルの部屋はドアを開けると湿気が籠りカビの匂いがした。

こんな部屋で、祐介は浮気していたんだ。

「お風呂、ためる?」

大橋がエアコンのスイッチを入れて聞いてきた。

「……そうね、あ、その前に」

私は大きめのバッグからお弁当箱を取り出した。

「え、まさか」

「前、リクエストされていたおにぎりです」

カラオケも、ここにならある。

「すげーサプライズ」

大橋は嬉しそうにお弁当箱を開けていた。



――あっという間の完食。
その食べっぷりは見ていて気持ちが良いほど。
中には、塩が足りなくて味があまりしないのもあったのに。
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