く ち な し―身代わりの恋
その言葉が私の胸を(えぐ)る。

「鳥肌立ってるね、寒い?」

「いいえ」

大橋は、生まれたままの姿になった私の肌に触れ、浴室へと促した。

「お風呂で、……するの?」

つい最近の夫との事であまり乗り気はしない。

「どっちでもいいけど。風呂でゴムは使いたくないかな」

大橋は、いつの間にか手にしていたゴムを洗面所に置いた。
独身の時以来、久し振りに現物を見た。
なぜなら――

「私には、必要ないかも」

「そうなの?」

大橋は、シャワーのお湯も確めて私の体にかけていく。

「結婚してから使った事ないけど。妊娠しないから……それも七年位、昔の話だけど」
< 116 / 123 >

この作品をシェア

pagetop