く ち な し―身代わりの恋
けれど。

「社長なら居ませんよ、板垣さんの車は預かってますけど」

会社には、整備士のみがいて大橋の姿は無かった。

「忙しい人ですから、寄られる前にアポ頂いた方が確実です」

そう言って、どこも悪くない車を引き渡された。

「……はい、そうします」

洗車だけはしてあり、ピカピカと輝いている。
複雑な思いで車に乗り、ダッシュボードを開けると封筒が一つ入っていた。

大橋からの私宛の返事だった。

彼の性格を表したような、達筆で綺麗な字だ。


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