く ち な し―身代わりの恋
私には分からない。

「どうして、そんな家庭に(こだわ)るの?」

″ そんな ″とは言い過ぎかもしれない。

だけど。
偽って結婚をさせ、料理も仕事もしない寝てばかりの妻と、血の繋がらない子供。
それを守る事がそんなに大切なのか。

家庭が壊れた私には分からない。

大橋は、少しだけ目を潤ませて答えてくれた。

「本当は考えたよ。……全部捨てて……梓と遠くに行けたらって。……手紙貰って本気で考えた」

途切れ途切れに話すその言葉に、誤魔化しや嘘は感じられなかった。


「だけど。どんなに考えても行き着く答えは決まってる。俺は、アユミを見捨てられない」
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