く ち な し―身代わりの恋
* * *


「朝田先生、今回頂いたプロット、テーマは不倫になってますが全くそれっぽくないし地味なんですけど」


数年前、不本意で書いた官能小説が大当たりした俺は、今じゃ誰からも ″先生 ″と呼ばれるようになった。
それでも、担当の編集者にダメ出しをされると未だに凹む。

「いや。不倫をベースにした純愛モノなんです」

電話で説明しながら、フッと部屋のカレンダーを見た。
今日は、姉の梓と、姪の(かえで)の誕生日だ。


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