く ち な し―身代わりの恋
そう言えば。
急な事だったので、代車にガソリンを補給する暇も無かった。
代車に置いていた私物を出して車を眺める。

――そして、汚い。

洗うか。
庭の水道にホースを繋げ、車を洗い始めてから数分後、見覚えのある車が家の前に止まった。

――もう、きた! 私の車。

大橋が運転席から此方を見ている。
水を止めて車庫へと誘導した。
大橋はバックで車を止めると、

「どう? 事故したなんて全く分からないだろ?」

褒められたい子供の様な顔をして降りてきた。

「ええ、本当ね」

流石(さすが)、車屋だ。
この人が修理したのだろうか? それとも他の従業員?
もしくは板金屋が?
私の考えがわかったのか、

「俺が一人で夜中にやってたんだよ、コソッと人知れず」

大橋が笑って答えた。
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