く ち な し―身代わりの恋
無邪気な顔に戸惑った私は、視線をそらして財布を取り出した。
「カードも保険を使わないから現金でお支払いしたいの。いくらですか?」
普通なら先に見積りを貰うのだが、秘密の修理だけに請求書もない。
大橋は顔を曇らせて、財布を持つ私の手を掴んだ。
「欲しいのは金じゃないって」
その手と強い口調に促されるように、渋々、財布を仕舞う。
「でも、それじゃ貴方の会社、大損じゃないの?」
車の修理にかかる原価は分からないけれど。
「これから貰うあなたの時間の方が貴重だよ」
「……え」
サラリと、これで終わらせない事を告げた大橋は、私の背後の代車に視線を移す。
「議員の奥さんも洗車するんだ? さすがにヘッタくそだな、泡のあとが残ってる」
当たり前のように洗車の続きを始め、 車はあっという間に綺麗になった。
「カードも保険を使わないから現金でお支払いしたいの。いくらですか?」
普通なら先に見積りを貰うのだが、秘密の修理だけに請求書もない。
大橋は顔を曇らせて、財布を持つ私の手を掴んだ。
「欲しいのは金じゃないって」
その手と強い口調に促されるように、渋々、財布を仕舞う。
「でも、それじゃ貴方の会社、大損じゃないの?」
車の修理にかかる原価は分からないけれど。
「これから貰うあなたの時間の方が貴重だよ」
「……え」
サラリと、これで終わらせない事を告げた大橋は、私の背後の代車に視線を移す。
「議員の奥さんも洗車するんだ? さすがにヘッタくそだな、泡のあとが残ってる」
当たり前のように洗車の続きを始め、 車はあっという間に綺麗になった。