く ち な し―身代わりの恋
「どうぞ」

大橋を、庭に面したウッドデッキの椅子に座らせて、冷たい麦茶とタオルを渡した。

「ありがと。本当は代車なんて工場(こうば)で洗って良かったんだけどね」

申し訳無さげにタオルを使う大橋は、何だか、脅迫してきた時の彼とは別人みたい。

でも。
2年前に好印象を持ったからって、脅してまで付き合う?
しかも。体の関係は要らないって。

本当の目的は、なに?

麦茶をイッキ飲みする大橋を見ながら、やっぱり、まだ警戒心を解いてはいけないと感じた。
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